■依頼を受けたとき、どう思いましたか?
以前にトレースの仕事はしたことがあったので、今回お引き受けしました。その時は白黒の線画をトレースする仕事だったのですが、今回はカラーで彩色、しかも出来るだけリアルに、とのこと。自然物の微妙な色の調子がイラストレーターでどこまで再現出来るのか、と思っていたのですが、やってみると基本的なグラデーションツールだけでも、かなり忠実に出来るので驚きました。CMYKの4色の掛け合わせだけで自然物の色がほとんど再現出来る…というのがやっていて面白かったですね。例えば植物の葉っぱの裏は表よりくすんだ色をしていますが、それを出すためにはCMYKの全体の量を下げて(つまり彩度を落として)、さらに黄色の割合を少し多くする…といった作業をするとそういう風に見えます。感覚的に捉えたものを数値的に処理すると、そのように見えるというのが不思議な体験でした。
■制作上、大変だった点は?植物はとにかくパーツの数が多いので苦労しました。特にモミやマツ、スギ…イラストレーターなのでコピーペースト出来るとはいえ、忍耐の作業でした…。葉っぱは一つ作ってコピーペーストするだけだと表情が出ないのでなるべく一枚一枚違う形にしてあります。葉っぱの形を変えるとそれにあわせて葉脈の形も変えなければならず…やはり「忍耐」でしたね(笑)。 それから写真を主に参考に描いたのですが、花の中の雄しべや雌しべや細かい模様等、細部が分かりにくく、ネット等で沢山の写真を参考にしなければならなかったのも大変でした。周りをよく見ると今作ってる植物の本物が近所に咲いていたりして、そういうものも参考にしました。作ったものの中でネコヤナギというのがあって、白い毛につつまれた不思議な形をしているのですが、近所で偶然本物を見た時はびっくりしましたね。ほんとにこういう形をしているんだ、と(笑)。 あまり植物には詳しい方ではないのですが、名前が分かってくると急に親しみが湧いてきますね。最近はよく周りの植物を見るようになりました。
■自分が手がけたもののうち、気に入っているのはどれですか?植物の場合、全体像だけでなく、花とか葉っぱ、実などのエレメントを取り出して使う場合もあると思います。とくに葉っぱに関しては、それぞれ微妙に形も違いますし、色々なアングルのものがあるので、イメージにぴったりなものが探せるのではないでしょうか。パーツを色々動かして違うアングルの全体像をつくることも出来ますし、花の色も自由に変えることが出来るので、デザインに応じて必要な形を作れるというのがこの素材集の面白い所だと思います。